現3歳世代、ジェンティルドンナやヴィルシーナといった名牝の初仔はPOG的には不発でした..(秋や古馬になって活躍するかもしれませんが)
初仔は走らないのでしょうか.. ??
そういうことどこかで聞いたことあるよなぁ、、と思いつつ調べてみると、
どうやら「初仔の牝馬は走らない」というのが定説となっているようです
手元のデータでも検証してみます。
データ取得
- 3世代(2016-2017、2017-2018、2018-2019)の成績から2勝馬以上の母を抽出
- ただし、産駒の1頭以上がN勝以上(年度に応じて2〜4)をあげた母馬に絞ります
- 各産駒のPOG期間の勝利数をカウント
- ただし、[地]や(地)といった地方所属馬は勝利数が多めに出てしまうので除外します
分析
産駒の平均勝利数(x軸)と初仔の勝利数(y軸)をプロットしてみます。
以下のようなグラフが得られました。
直線は なので
- この直線より下にプロットされた点は 初仔はその母馬の全産駒の平均より成績が悪い
- 逆に直線より上にプロットされた点は 初仔はその母馬の全産駒の平均より成績が良い
ということを表しています。
これを見ると大半のプロットは直線の下に位置しており、初仔の成績はその母馬の産駒の平均的な成績に比べるとあまり奮ってないということになります。
牡馬と牝馬の比較
ここから性別ごとの比較をしていきます。
さきほどのグラフを牡馬、牝馬で分けて出すと次のようになります。
牡馬
初仔の勝利数 | 割合(牡馬) | 割合(牝馬) |
---|---|---|
0 | 0.727 | 0.816 |
1 | 0.236 | 0.122 |
2 | 0.036 | 0.061 |
これを見ると、牝馬は牡馬に比べて0勝馬に終わる可能性が高いということは言えそうです
デビュー時の体重の比較
初仔の成績があまり良くない理由としては生物学的な要因以外にもいくつか考えられます
- その産駒の育成のノウハウがたまっていない
- 小柄に生まれる(?)
など。
育成に関してはデータのとりようがないので 2番目の体重説に関して、初仔のデビュー体重と2年目以降の産駒のデビュー体重の分布を出して検証してみました
- 牡馬
- 牝馬
牝馬の場合は、初仔のデビュー時の体重が2年目以降の産駒のデビュー体重と比べて明らかに小さいことが分かります。 おそらくこれも一因でしょう
平均勝利数が上位の母馬
データ分析の副産物として得られたPOG期間の産駒平均勝利数が上位の母馬のリストです 対象産駒数3以上だと信頼度としてはかなり高いと思います
母名 | 平均勝利数 | 対象産駒数 |
---|---|---|
ヴィアメディチ | 3.500000 | 2 |
スタセリタ | 2.333333 | 3 |
ラドラーダ | 2.250000 | 4 |
グロッタアズーラ | 2.000000 | 3 |
ミスアンコール | 2.000000 | 5 |
スターアイル | 1.800000 | 5 |
ナスケンアイリス | 1.666667 | 3 |
ラヴズオンリーミー | 1.666667 | 6 |
エアトゥーレ | 1.500000 | 8 |
ドバイマジェスティ | 1.500000 | 4 |
ライラックスアンドレース | 1.500000 | 4 |
ナイスカット | 1.400000 | 5 |
シンハリーズ | 1.375000 | 8 |
ミスチフ | 1.333333 | 3 |
ポールポジションII | 1.250000 | 4 |
シーザリオ | 1.222222 | 9 |
チャチャリーノ | 1.200000 | 5 |
スパイオブラヴ | 1.200000 | 5 |
フサイチパンドラ | 1.142857 | 7 |
その他、興味深い記事
特別に初仔に着目した分析ではないですが興味深い記事を見つけました。
これによると、
繁殖牝馬は第2仔~第6仔において最高の産駒を送り出す可能性が非常に高い
そして、
概して、第7仔以降の牝馬において競走能力と同様に繁殖能力にも衰えが見られ始める。
だそうです。また、
「牝馬が繁殖入りしたばかりのときは、その牝馬を見て身体的に補完すると考えられる種牡馬と交配させます。その結果生まれてきた産駒が、予想とまったく異なることが時々あります。多くの場合、繁殖牝馬が初仔を出産する前に2年目の種牡馬はすでに予約されています。そのため、ほとんどの場合、種牡馬選びに磨きをかける機会があるのは、3年目の種牡馬を選ぶときなのです」。
3番目はなるほどなと思いました
来年以降の作戦にぜひ活かしたいと思います